アスフォデロの野をわたる途中で

忘却の彼方にいってしまいがちな映画・音楽・本の備忘録

生きてていいの? って悩まざるをえない百鬼丸、ママ上、醍醐一家。どろろ 第12話 感想

多宝丸も助六も生き残った〜!!!

 
うれしいんだけど、原作の「ばんもん」とは全然違うのがちょっと複雑。
 
あれかしら、やっぱり手塚先生が描いていた頃は、それこそ朝鮮戦争が10年前に終わって北緯38度線の「板門店」、そして1961年に「ベルリンの壁」が生まれたばかり、って政治的背景が子ども漫画にも色濃く反映されてたけど、トランプが築こうとしているメキシコとの壁はあまりに精神年齢が幼すぎて馬鹿みたいに見える21世紀なので、ご家庭問題の方が重きを置かれるのかしら。
 
百鬼丸が自分の立ち位置を遂に知ってしまうところが辛すぎたので、命題はやっぱり「自分って何?」「おれはどう生きればいいの? 」「生きてていいの?」って深過ぎる話ではあった。
 

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それだけに、ちょっと話が急展開過ぎて、醍醐一家、集合かかったもののすぐに解散、みたいなそんな第12話でありました。
 
九尾の狐は倒されたわけではない。
観音像は捨てられた。
ママ上は陸奥に自害を止められたけど、これから祈りもせずどう生きていくのか。
多宝丸は右眼を失い、ただの良い子ではなくなった。
地獄堂に封印されている鬼神とは。
 
ぜんぶ保留。
 
 
 
第2シーズンに持ち越された??
 
次クールの予告にすべて持ってかれた初見の気持ちです。
 
個人的には、鯖目様の奥方がどストライクな感じ。
原作と違って無垢みが強い。。
異種婚譚の極みをいってくれる予感。
 

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実写だったら、深田恭子さんにやっていただきたい。
でもってOP、EP 変わってしまうのな。
女王蜂もamazarashi も良かったのに。
Blu-rayでしか見られなくなるってか。
 


TVアニメ「どろろ」第4弾アニメPV

 

しらぬいが出るのはうれしい。

ということはイタチも再登場な。

 

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行水シーンがふんだんに出ていますが、どろろの背中の秘密がたぶん次クールの重低音。。。

 


TVアニメ『どろろ』 第十三話「白面不動の巻」予告

 

百面不動はどろろの辛い回ですね。

第2クールは「あやかし」に関わる人間たちがどんなふうに描かれるのかが興味深い。

そして醍醐ではなく、多宝丸が第3の主人公として陸奥と兵庫と共に活躍していくんだろう。

それも良きかな。

 

 

 

「行け!」と板門店を越えさせる百鬼丸のイケボぶりよ(ノ∇〃 )。o どろろ 第11話 感想

正座して見た。

なんつっても『ばんもん』です。
ベルリンの壁というより、やはりこれは北朝鮮と韓国を隔てる軍事的境界線「はんもんてん」を手塚先生は意識していたのだろう。
 
30分というか23分が非常に長くそして短く感じた。
やっぱりこのアニメはすごい。
 
今回、どろろのクルクル表情が変わる様子と、百鬼丸のクールな感じがすごく対比になってて良かった。
原作の元気でお茶目で時にヤケになるアニキも好きだったけど、今回の無口で、でもいろいろ考えていてちゃんとまわりの様子もわかっている冷静なアニキは極上。ときどき「鬼」になるけど。その危うさすら魅力。
 
醍醐の城下町で不穏な噂を聞きつけ、向かった「ばんもん」で九尾からどろろを救い、ひとりで国境を越えた助六を「行け!」のひとことで後を追わせるなんざ、イケメンぶりが際立っておりました。
 
前回、一瞬の邂逅で終わるのかと思っていたら、多宝丸とは「おまえの名は?」「百鬼丸
 
うわ 答えた!
しかも正しい発音!
 

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ってそんなに簡単に名前を教えて良いのか。
陸奥にシュをかけられるぞ!
 
そして、どろろ、そんなに簡単にアニキのことをベラベラしゃべってはダメだorz.
自慢なのはわかるが。
至極簡単にパッパに知られてしまったではないか。笑
 

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そしてパッパはまた簡単に会いに行っちゃうし。それを朝倉の間者に知られてるし。そのせいで夜の見張りが増えて助六捕まっちゃうし。
 

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助六との出会いも、乳母といっしょに百鬼丸の出産に立ち会った侍女の存在(16年間町中に放置されてたのがナゾ)も、琵琶丸との再会も、何もかも伏線張りまくりのまま、後編を待たれるわけですが、最後の醍醐との対面は、キター 感満載!
 

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こんなに早くパッパに会うんだっけ?

原作読み返したのも何年も前だし、映画も忘れてるけど、そういえば原作では最初「わしに仕官しないか?」ってことで、百鬼丸は醍醐の屋敷でゴロゴロしてた気がする。

そこに現れる人を惑わす九尾の狐。。。

 


TVアニメ『どろろ』 第十二話「ばんもんの巻・下」予告

 

んー

予告を見る限りそんな悠長な話ではないようですな。

原作では助六はほんっとに悲しい死を遂げるんだけど、今回はどうなのか。

そしてOPでも百鬼丸と剣を交えていた多宝丸の運命は。。。

先行カットでは、またもや百鬼丸を必死で引き止めるどろろの姿があったけど。

 

 

百鬼丸の心の眼が見た醍醐親子の魂の炎と、久しぶりに登場した琵琶丸が見た百鬼丸の魂の炎については、追記で書きたいと思います。

 

 ⭐︎追記⭐︎
 
ということで追記です。
魂の炎の色問題。
別名、百鬼丸アイ問題。
琵琶丸も見えてたから、琵琶丸アイ問題でもある。
 
これはやっぱりいわゆるオーラですかね。
視覚じゃないから厳密には違うんだろうけれど。
 
私は一度だけ、負のオーラを感じたことがあります。
ヘッドハンティングされてやってきた新しい上司。
ものすごく穏やかでにこにこしてるんだけど、ものすごっく邪悪な何かを初対面で感じました。
私はオーラが見える人ではないのですが、だだもれるグレーな気配。
案の定、割とホワイトな社風の中で孤立してしまい、半年も経たずに転社していきました。
 
で、カニの化け物を倒した後の百鬼丸と多宝丸の遭遇。
 

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カニ頭の多宝丸は「白」!
 
サカナとか普通の生き物は白く見えるらしいので、これは多細胞生物の証拠かと思ってしまった。いや、細胞レベルはもっとナノな世界ですね
 
そして醍醐ヨイショの芝居小屋で再会した琵琶丸アイから見た百鬼丸は。。。
 

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ちょっと赤が混じってる。
「おまえさん、人を斬りなさったね」と言う琵琶丸。
でも、船で流される赤ん坊の百鬼丸を琵琶丸が見たときも、赤が混ざっていた。
寿海パッパに育てられる間にもしや白に戻ってたのかしら。
赤って鬼の要素なのかな。
琵琶丸と別れ、ミオと孤児たちを殺された怒りにかられてサムライたちを斬ってしまった百鬼丸は、また鬼に戻りつつあるのか。。。
 
そして、ラストついに真のパッパ、醍醐景光に遭遇した百鬼丸の見た魂の炎の色は!
 

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おお やっぱり赤が混ざっている!
馬くんは白いのに。
奇しくも百鬼丸と同じ魂の色。
 
さて、次回、宿命の兄弟対決、真っ白なままの多宝丸を、果たして百鬼丸は斬れるのか?
鬼になろうとしているパッパの命令で、スパイ容疑の助六を処刑しちゃったりして、多宝丸の魂の色は変わってしまったりするのかな???
 
あー 楽しみだけど辛い。
そんな繰り返しのどろろ道でございます。。。
 
 
 

池の水ぜんぶ抜く多宝丸。あほう丸ではなかった! どろろ 第10話 感想

早起きして見ました。どろろ第10話「多宝丸の巻」まんまやん!

しかし!

 

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私が知ってる原作の多宝丸の唯一面影があったのは以上1カットのみ。

「この魔物は俺が倒す!」と自信満々で臨む場面では、原作の自信過剰のドラ息子ぶりが垣間見えたけれど、それ以外は冷静で頭も回り、次期後継者としての自覚もあり、両親を愛していて、部下にも思いやりがある、というスーパー王子。

しかも子供時代には、既に「パパとママには自分以外に気にかかる何者かがこの世に存在する」という子供にとってはとてもつらい事実を悲しむ繊細さを合わせ持っている。

ひとりになりたい時にやって来る湖のほとり。

この多宝丸、とても可愛い。。

毎日きちんとご飯を食べられて、あたたかい布団のなかで寝られても、辛いことはたくさんある。

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そこに迎えにやって来る優しい幼馴染み(乳兄弟??)であり、忠実なる供である兄妹。

ちょいとお姉さんとも少し上のお兄さん。

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成長した姿は、義経を守る弁慶と静御前だね〜  これは。

船で八双飛びやってたし。 

原作のあほう丸には、ロクでもない取り巻きしかいなかったけど、本作の多宝丸は育ちだけではなく部下にも恵まれている。

そして、醍醐パッパが地獄堂で魔神に問いかけると、まるで『ロードオブザリング』の遠見の水晶球のように過去の百鬼丸の姿が!

 

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 どんな特殊能力。。

これで人相書きも作れて探索も容易になる。

パッパには鬼神と交信する特殊能力が与えられているが、奪われた身体を取り戻しつつある百鬼丸は、まだ片言しか話せない中途半端な状態。

「まんじゅ」

ってこれ何かの伏線??

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そして、サービスカットの褌姿の百鬼丸には、ミオが命がけで守った種籾が入った醍醐の家紋入り御守り。

最終的に百鬼丸カニのお化けの妖を倒したあと、一瞬出会う弟の多宝丸に、この醍醐の家紋は見えたのか??

 

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まあ

百鬼丸には見えてないけどね。

 

「お前は?」とあきらかに百鬼丸の存在に気づいた多宝丸。

日本語だとひとりごとっぽいけど、

英語字幕では「Who are you?」 

彼にはカニのお化けを倒したのは百鬼丸だとわかっているし、もしかしたら家紋お守りも見えたかもなー

百鬼丸も呼びかけられて、気付いたし。

どんな魂の色を見たのだろう。

 

 

クールで胸熱の兄弟の邂逅から、次回は満を持して「ばんもん」

 


TVアニメ『どろろ』 第十一話「ばんもんの巻・上」予告

 

原作でいちばんつらかったお話。

助六が辛すぎる。

隣町の友達のうちに遊びに行って、家に帰れなくなったらどうしよう、子供心に真剣に考えた。

 

そして多宝丸との対決なー

百鬼丸の沸点が低いだけに、どうなるのか読めない。

そもそも百鬼丸は、自分が領主の後継だったかもしれない長男で、捨て子で、生命と引き換えに国の安定を贖った贄であることを自覚してるのか。

多分してない。

確か「ばんもん」で登場する九尾の狐は大陸から渡ってきた人の心を操る妖怪で、百鬼丸に自分の生い立ちを囁いて弱体化させる戦法で苦しめるヤツだったはず。

来週の「上」でまず自分が何者であるかを知らせ、多宝丸との対決に「下」で向かうのかなぁ。

そして良い子の多宝丸は、尊敬するパッパの領国が実は兄ひとりの犠牲の上に成り立った非常に危うく偽りに満ちた存在であることを、いつ知るのかなぁ。

Who are you?

常に自分は何者なのかを問いかけながら、生きていく。。。

 

半分終わっちゃうのもつらい。。

なんてったって、「ばんもん」は今回みたいな単純な「村の化け物退治」(池の水ぜんぶ抜いちゃう作戦とか面白かったけど)ではなく、分断された国の悲劇とか親子そして兄弟の絆を壮大に描く手塚治虫先生真骨頂の作だからな。

後期は鯖目様と不動明王とサメしか思いつかなく、あとはもう本当にどろろの「幸せの国はあるのか」話になっちゃうので、多宝丸いなくなっちゃうと厚みなくなるから生きててほしいなー

 

 

 

どろろの人生を作った男、イタチ。どろろ 第9話 感想

どろろ第9話『無残帳の巻』見ました。

子供の頃に原作を読み、いちばん心に残ったというか刺さったシーンが、お自夜おっかちゃんが、どろろに自分の手のひらですくったおかゆを食べさせるカット。ザラザラの紙に乗ったインクから、手に火傷を負ったおじやさんの熱さと痛み、そしてどろろへの愛が立ち上ってくるようだった。

 私もこういうふうにパパとママに守られているんだなぁ、ととても切なくそしてつらい気持ちになったことを覚えている。

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そして、イタチ。

子供の頃には単に卑怯な人だとしか思えなかった。

でも、その後のサメの巻に再登場するイタチに、人間の複雑さというか、アンビバレンツな気持ちを抱いたことも確か。

そしてナウシカのクロトワに出会って、イタチのことを思い出した。

戦う姫皇子クシャナに付き従い、クシャナが帰還せず「ついに諦めていた好機到来!」とワクワクしながら、いざ無事帰還してしまうと踵を返してゴマをするシーンでは、本当に笑ってしまった。


風の谷のナウシカ クロトワ参謀の全セリフ  

その人間くささは、大人になって初めて理解できるもの。賢いクシャナは、クロトワの野心や狡猾さを十分理解しながら、勇敢で優秀な部下として重用している。私はクシャナとクロトワの主従がとても好きだ。

イタチはその原型なのだなぁ、繰り返し出てくる、スカンクやイタチといった、そのネーミングからして胡散臭いキャラクターは、手塚漫画の大きな魅力のひとつなんだ、とあらためて今回のアニメを見て感じ入った次第。

イタチの裏切りによって父は殺され、母は死に、どろろは孤児としてひとりで生きていかざるをえなくなった。しかし「力ではなく、知恵を駆使して生きていく」どろろの人生は、このイタチの価値観に合致するものだ。あのまま、野伏せの集団にいて運良く生き延びていたとしても、力に頼り、血なまぐさく短い人生を送ることになっていたかもしれない。

人生には良いも悪いもない、何が幸いか分からず、幸いと思ったことさえ災いの種になったりする。

そんな人生の複雑さを、このアニメはさらにわかりやすく描いていて、しかもきちんと心に入ってくる。

もちろん、どろろに両親に愛されて育った強い記憶があるから、あの白い魂の炎が失われていないのだろうけれど。

 

そして百鬼丸

つらい離別がなければ、百鬼丸どろろが出会うこともなかったね。

醍醐の後継者として対峙する別ルートだってあっただろうけれど。

 

もう二度と私を置いていかないで

熱でフラフラする身体で立ち上がろうとするどろろはとても愛おしかった。

百鬼丸も、どろろの危機を感じて、ようやく他者とコミュニケーションを取ろうという段階まで進むことができたのだろう。人は切羽詰まらないと、自分で持っているハードルを越えることができない。

 

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【海外の反応】どろろ 09話 / Dororo ep09【Reaction mashup】

 

her?

girl????

と驚く海外勢でしたが、はやくも女の子ばれ。

次回、多宝丸登場で、11話と12話で遂に「ばんもん」に雪崩れ込むかと思うと3クールはやってほしいと嘆願したい気持ち!

だってどう考えても流暢に話せるまで1年はかかるだろう、「どろろ からだあつい」のままでは啖呵が切れない!

 


TVアニメ『どろろ』 第十話「多宝丸の巻」予告

 

 

イケメン過ぎる多宝丸予告でつい忘れてたよ、ママ上。

お縫の方の百鬼丸への思いというのは、「坊や」って言葉に現れてるけどものすごく特別なんだよねー

「坊やのおかげで醍醐領の平和が保たれている」という事実をママ上が知っている、という今回の設定。多宝丸もなんとなく醍醐家の秘密と自分以上に両親から気にかけられている「何者か」の存在に勘付いている。

1クール目のクライマックスは百鬼丸のファミリーアフェアではあるが、鬼神のひとつ、九尾の狐との対決はジリジリ感がものすごく、人間にささやきかける悪魔みたいなところがあって、今回まだ赤ん坊段階のコミュニケーションしかできない百鬼丸といったいどんな心理戦を繰り広げるのか、なんか靖子にゃんならではの解釈がありそうで楽しみではある。

そして、原作ではどうしようもない坊ちゃんとして描かれていた多宝丸が、今回まともに領内のこととか考えていそうな好青年なので、2クール目も存命するかどうかが一番の注目ポイント。個人的には生き延びてほしいな。

 

 

ジブリ感満載。そして君の名は。どろろ 第8話

すごい。普通の回だった。(けなしてません)

日本王道のアニメというか。

空中戦、かっこ良かった〜 

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バルス

ラピュタかと思いました。

予告見たときは完全にもののけだったし。

「さる」は野生児のコナンでしょ♪

 

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今回も前作と同じく原作から離れた完全オリジナル版。

強力な12の鬼神のうち1匹を倒して「鼻」を取り戻したのが、唯一原作準拠。

嗅覚取り戻したとたん、火山の硫黄臭にやられる百鬼丸 笑

聴覚取り戻したら悲嘆の泣き声、声帯取り戻したら慟哭。

 「人間は泣きながら生まれてくる」と言いますが、ぬくぬくと母に守られてうとうと過ごしていた最大の幸福期から、みずから息をして食物も取らなければならないこの世へ。

百鬼丸の人体パーツを獲得していく姿は、まるで胎児から人間へと成長していく姿をなぞるよう。

 

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そして お花の似合う今シリーズの百鬼丸ですが、強烈な温泉卵臭を癒す花をスグに手に入れてました。

今回の「花」お梅ちゃん(原作リスペクト日本のゴハンシリーズ梅干しの梅でもあるな)  も、やはり「村の犠牲になるのではなく、自分から志願して自分の愛する人=さるを守るのだ」という度胸が据わり、かつ村から排除されマージナルな存在だったさるを救う深ーい愛を持ったすばらしい女性でした。

 

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 あー

これはすでに兄弟愛を超えているぞ!

ムカデではなく、おそらく将来オオカミの嫁になる梅。

年下もいいもんだよ。

と2週続いてハッピーエンドが続きました。

しかし、次回なんと私の予想を覆して満を持して投入されるどろろの過去、『無残帖』

早い!

早過ぎない??

ミオと孤児たちの運命を受け止められなく傷を負った視聴者たちがまだ、あちらこちらに倒れているこの段階で、「おっかちゃん」爆弾を投下するか!

 


TVアニメ『どろろ』 第九話「無残帳の巻」予告


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このイケメン誰??

って思ったら、どろろのおっかちゃん、おじやさんだった。

野武士のツートップとして君臨した迫力がすばらしいなぁ。。しかしこの後に熱いおかゆ事案が。。

機械男爵に追われてトチローと雪原を彷徨う母さん、名作『砂の器』で雪の降りしきる山陰地方を物乞いをして歩く父と子。なんだかいつも重なってしまう。

つらい。

平和なのは今だけ。。


そういえば、百鬼丸のコミュニケーション能力もまた一歩、進みました。

どろろ

おお!

助かったお梅ちゃんが「さる」に向かって「新しい名前をつけよう。名前は大事だよ」と言ったあとの「どろろ」呼び。

大百足と戦ってる時は、どろろを呼んでる(と、さる君が実況していた)のにうぉーうぉーという叫びにしかなっていなかったのに。

最初に何を話すのか。

やっぱり「目」を取り戻した時の世界の美しさかなぁ。。


【追記】

今回は「名前」がテーマだったと思います。

古来、名前は他人には教えてはいけなかったと聞きます。

名前を知られてしまうと、呪術に使われたり、支配されてしまうから。

千と千尋の神隠し』はタイトルからして象徴的ですが、「千」がユバァバから支配されている時の名前で「千尋」が真の名前です。ハクは既に川であった時の真の名を忘れてしまい、出会った千尋に「決して自分の本当の名前を忘れてはいけない」と告げています。

第8話の「さる」は、自分の本当の名前を知らず、お梅といっしょに里で暮らすことになった時、新しい名前を持つことになります。

これはどうやって決めるんだろうなぁ。

2人で話し合って決めるのかしら。村の長老にお願いして決めてもらうのかしら。その方が、新しく共同体に入るにあたっては穏当だろうな。

百鬼丸」も「多宝丸」も「丸」がつくのでどちらも幼名。元服すれば別の名前になる。

しかし、百鬼丸が最初に口にしたのが「ミオ」「どろろ」と全て名前なのも興味深い。

自分のことちゃんと「百鬼丸」って教えてたし。

百鬼丸はずっと百鬼丸のままなのか、それとも生身の人間としての身体を全て取り戻したら別の名前になるのか。

それが百鬼丸の選び取った道になるんだろうなぁ。

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ミオねぇ追悼。そして百鬼丸は「抱きしめる」を獲得した。どろろ第6話 追記

どうも第7話はまさかのハッピーエンドだったらしい。

しかも次週第8話は、さらにまさかの連続オリジナルエピソード!
原作知ってるが故の最初からネタバレ仕方ない状態が、先がわからないドキドキで見られるのは本当に楽しみだなー
そこから怒涛の多宝丸との兄弟対決に入っていくのか。。
 
ということで、第7話はこれから見るのですが、忘れないうちにミオです。
 
原作を知らない海外ガチンコ勢。
毎回反応をチェックしていて、先週の第6話についてはみな「悲痛」の一言しかない。
 
絶句、というか。
 
 
日本の原作読んでる勢は、ミオが死んでしまうことも子供たちも皆殺しにされてしまうことも全部織り込み済みで、さらにその過酷なストーリーを深掘りしてくる靖子にゃん先生脚本のショックに耐えられるかどうかを先読みして恐怖してたわけですが、海外勢はさすがにミオの悲劇はOPから予測できても、まさか子供たちまでと思ったらしい。
 
で、ラストの百鬼丸どろろが、草原が黄金の稲穂に変わっていく中を歩むシーンで流れる「赤い花 白い花」で、花が捧げられる相手は明確に「her」と字幕が出てるんだよね。
 
Pick a red flower
To give to her
 
赤い花 摘んで 彼女にあげよう
 
。゚・(>﹏<)・゚。
 
 
 
百鬼丸の思いであったか。。。
 
字幕グッジョブ。
 

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原作だと死んでしまったみおに口づけするんだけど、発達の遅い今回はマボロシの花をそっと差してあげるのだ。。
(実際には抱きしめてますが)
 
日本語だと主語どころか対象が男なのか女なのかわからない。
ミオの歌声だから、ミオがおリボン百鬼丸に花を差してあげてる姿しか浮かんでなかったけれど、ラストでは、百鬼丸がミオの髪に花を差してあげているわけです。
 
嗚呼ー
 

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「ミオの魂が汚れていないことを、生きているうちに百鬼丸が伝えてあげられなかったことがつらい」
という感想を見かけたけど、百鬼丸最大の愛情表現であるミオの頬を両手ではさむという仕草で、ミオには十分伝わってるのではと思うんだけど甘いかしら。
 

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そして私の号泣ポイントは、やはり我に返った百鬼丸が仕込み刀のままでミオを抱きしめるシーンでした。
 
「ミ。。オ」
 

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あー
 
百鬼丸が遂に本当にしゃべった。。
 
赤ん坊が初めて話す言葉が「Ma…ma」。
 
でもね。
抱きしめてるから!
頬を手ではさむのが最大の愛情表現だった百鬼丸が「抱きしめる」を獲得してるから!
 
鋼の手で愛する人を抱きしめる姿は、ジョニー・ディップの出世作シザーハンズ』を思い出させた。
 
 
百鬼丸は鬼神から今回は12の部位を奪われているけれど、ほぼコミュニケーション能力を奪われていると言ってよい。
「顔」がなければ喜怒哀楽の表情を伝えられないし、「感覚」や「耳」がなければ外界の情報を取り入れることができないし、「声」がなければ言葉を話せない。
でも直接的に鬼神から取り戻しているそれら部位だけではなくて、人と手をつないだり(どろろは手を引いてあげている)、人を抱きしめるといった愛情を表す「ジェスチャー」自体もこれから徐々に獲得していくのだろう。
 
 
原画の浅田さんが、百鬼丸がミオの魂の白い炎を見つめて、ミオが恥ずかしくてそっとエリを合わせ直す姿を公開してる。ミオはあきらかに百鬼丸の「魂」を感じている。
 
 

 
百鬼丸はまだ目が見えていないけれど、人の本質を見ることができる。
どろろは言葉でミオに「ねぇちゃんは偉い」と伝えていたけれど、きっと百鬼丸の「ミオの魂は美しい」という賛美の心は伝わっていたと信じたい。
 
「愛おしい」という気持ちは生きているうちに伝えることはできなかったけれど。。。
 
そういう意味で、やはりこの第5話と第6話で、百鬼丸は人を愛する心を学んだと思うのです。
愛するが故に鬼にもなるし、仏にもなりうる。
原作のやんちゃで少し不良なアニキも捨てがたいけど、この物静かで、内に炎を秘めた平成のアニキが羽化した時は、きっと素敵なヒトになると思うな。
 

 

これぞ、二次創作。「あやかし」は見逃す百鬼丸。どろろ 第7話

第7話、見ました。

 

#ミオ追悼の記事を書いてたんだけど、あとでリンクします。

ミオねぇ追悼。そして百鬼丸は「抱きしめる」を獲得した。どろろ第6話 追記 - アスフォデロの野をわたる途中で

 

つらいつらい第6話のあと、「ミオねぇ、お疲れ!」とクランクアップして花束をもらってる笑顔のミオと百鬼丸どろろの3ショットなど、みなさまの二次創作があふれていて、癒されました。

 

そして、この第7話は、公式だけど市井の人の二次創作と同じ系です。

重すぎる手塚先生のオリジナル。

辛すぎる戦国の世の現実。

そして今も殺され続ける戦火の中の子供達。

だからこそ、原作では叶えられなかった百鬼丸とみおの初恋が実る姿、百鬼丸とミオをリーダーとしてどろろやタケ坊の戦災孤児たちが暮らす黄金の田に囲まれた理想郷を、みなせつない願いをこめて描くのです。

 

そんな気持ちが、この典型的な「異類婚譚」に現れている気がします。

公式として、インパクトはないけど、ほっとさせられる感じ?

 

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はっきり言って、今回は百鬼丸どろろもどうでもいい感じです。

狂言回しというか、特にいなくてもいい。

主役は、「あやかし」である絡新婦とその旦那になる村人。

 

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(「お萩」は「お須志」「お自夜」「お米」に連なるコメシリーズ、手塚原作オマージュですね)

 

重要なのは、なんでもかんでも「赤い魂」を斬りまくっていた百鬼丸が、最初は真っ赤っかだった「絡新婦」が「赤と白の混合」というまるで前回の自分みたいな魂の色になって、最後は「夫」になる人間の男のために必死に戦う「彼女」の白い魂を見て、文字通り鞘を収める、その姿。

 

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ほんとに邪悪なのは、オニそれとも人間?

 

と相変わらず重いテーマをぶっこんできますが、結局、妖刀にあやつられた田之助とお須志の兄妹は現世では救えず、鬼神よりもっと邪悪かもしれない運命に捕まってしまったミオとその孤児たちも救えなかった、その原作を鎮魂するように、この7話では「あやかし」とそれに惚れてしまった人間の男は、百鬼丸に見逃されてこの世界のどこかで生き延びていくのです。

絡新婦は、「人間の生気を奪って生きていく、でも殺しはしない、なぜなら大事なエサだから」って、これはあきらかに『ポーの一族』のバンパネラ

一般的にはヴァンパイヤ。なぜかヴァンパイヤは男にとっても女にとってもセクシーな存在であり続け、人間とヴァンパイヤの恋は東西問わず物語られ続ける。。。

 


twilight mad world

 

あ、すみません。完全に私の趣味が炸裂しました。

スルーしてください。

 

そして、ついに百鬼丸が笑った???

 

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わかりにくいなー

でも、よく見ると口角がかすかに上がってますね w

前々回でついに声を取り戻したにもかかわらず「ミ オ」以降、ひとことも発しない百鬼丸

どうも「フン」と鼻で笑ったらしい。

いったいいつ、主語と動詞がある言葉を発するのか???

最初のセリフは何???

 

そして次回、第8話もなんとオリジナル。

第1クール、そのあと4話しかないよ??? 大丈夫????

「ばんもん」がラスト2回として、その前は「鯖目さま」が出るみたいだし、そうすると今回の絡新婦がかぶる気がするんだけど、まあいいのか。。。

#鯖目さまは、どうやら15話のようです。ということは第2クールの前半。

 

次回は「もののけ姫」のサンっぽいよ!

 


TVアニメ『どろろ』 第八話「さるの巻」予告