アスフォデロの野をわたる途中で

忘却の彼方にいってしまいがちな映画・音楽・本の備忘録

どろろと百鬼丸。それぞれの道。百鬼丸は奪うのではなく、赦しを与えた。。第24話 感想

感動巨編だった。たったの24分だけど。

脚本も作画も演出も声優さんも凄かった。本当にありがとう。

 

冒頭の男声コーラスが泣けた。

私はクロサワとかミゾグチとか古い日本映画が好物なんだけど、昔の特に時代劇は男声合唱が厚みを与える。昭和のどろろアニメもそうだった。

小林靖子さんの脚本、本当に筆が冴え渡ってたね。

男声コーラスにかぶせて重厚なイケボ代表大塚明夫さん(寿海パッパ)のナレーション。 

かつてこの国に響くはずの産声があった。

だが、誰にも届かぬその声は、その実、国中に響き続けていた。

ずっと。。

 


TVアニメ『どろろ』 最終回 第二十四話「どろろと百鬼丸」予告

 

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おれの行く道はそこじゃない。

おれは人だ。

あんたも鬼神になるな。

人として生きろ。

 

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百鬼丸。。

あの日ここでわしが鬼神にすがらねば、おまえがこの国を継いでいただろう。

わしが望んだ醍醐の繁栄は、百鬼丸、鬼神が欲するほどのおまえのその生きる力の中に。。

 

醍醐パパの慟哭で初めて「約定」の謎が解けた。

鬼神はまだ赤ん坊の百鬼丸の力を恐れて、百鬼丸の命を奪おうとしたのだ。

景光が鬼神と約定を交わさねば、成長した百鬼丸(本当は多宝丸という名がつけられるはずだった)が領主となり、醍醐の国に繁栄をもたらすはずだった。

そういうことかー

鬼神は邪悪な存在。

決してその契約は正当なものではない。

もともと「あるはず」だったものを奪い、偽りの安寧を醍醐の国に与えていたのだ。

景光パッパは、城も奥方も後継も失い、自分の捨てた息子に大きすぎる赦しを与えられ、ようやく真実に気がついた。

そして百鬼丸は身体を取り戻した後、自分を鬼神に捧げた父親に、罰ではなく赦しを与えた。これはすごいことだ。

 

百鬼丸は寿海から与えられた「仏」を、「自分は人として生きる。父上も人として生きろ」と、景光に残し置いて出て行く。

その仏は、景光の「約定」の印である額の傷から流れ出る血を浴び(ってことは約定は解消されたのだ)まるで景光の身代わりのようだ。

ひとり生き残った景光は、坊主になるのかもしれない。

それは、この物語のもう一人の語り部であった、琵琶丸のかつての姿なのかもしれない。

琵琶丸による最後の語り。

 

百鬼丸が旅立ち、どろろが歩き続けるこの世は、やがて戦国へと向かっていた。

だが、琵琶丸は思う。

彼らの行く手に広がるのは決して血だまりだけではないと。

 

これから戦国の世、ということは「人として生まれたばかりの」百鬼丸は旅のうちにさらに成長し、明智光秀みたいにだんだん頭角を現していくのかな。

どろろは、ミドロJr.の村の3人組と助け合って、両親とイタチが守った隠し金を利用してさらに金を増やし、そしてミオの種籾を持った百鬼丸と再会するのだろう。

 

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ひゃー

成長した百鬼丸は、中の人の鈴木拡樹さんの面影ありますねー

どろろ鈴木梨央ちゃんもすばらしかったけど、ふたりを支えたベテラン声優陣はさすがでした。寿海の大塚明夫さん、琵琶丸の佐々木睦さんはもちろん、内田直哉さんの最後の景光の押し殺した後悔の慟哭は凄い演技だった。

 

百鬼丸と多宝丸のバトルも見応えありました。

城の櫓を落ちてくところは、<鬼神のごとく>第1話の橋を上っていく場面との対だろう。<人となって>落ちていく百鬼丸

演出も冴え渡ってるなー

うれしくて泣いちゃうよ。

 

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兄弟が和解して本当によかった。

ママふたりが死んじゃったのはどうかと思うが、縫の方は我が子ふたりを抱く聖母マリア百鬼丸の未来を指差す寿海は菩薩、ということで、ちょっとエンディングロールっぽいまとめ方なのが心の傷を浅めてくれた気はする。

 

そしてあいかわらず鬼神は弱かった。笑

 

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こちらこそ、ありがとう。

最終話、どうなっちゃうかと思っていたけれど、令和の新しい世にふさわしいドラマを観せてもらった。

手塚治虫先生も、きっと喜んでいると思います。

思いっきり余白を残したエンディングで、二次創作も楽しみ。

 

あとは4400円のMAPPAの設定集を買うかどうかを悩むだけ!

 


TVアニメ「どろろ」 オープニング・テーマ 女王蜂「火炎」OPノンクレジット映像