アスフォデロの野をわたる途中で

忘却の彼方にいってしまいがちな映画・音楽・本の備忘録

生きているミオ姉は、だからこそ尊い。どろろ 第6話

どろろに泣かされた。

 

f:id:yumi-kuroda:20190213070552p:plain

 
見たいんだけど見たくなかった第6話「守り子唄の巻・下」
体調万全にして観ようと、ようやく見た火曜日夜が明けた。
 
考えていたより清々しい気分。
 
「上」があまりに衝撃的で心けずられる展開だっただけに、これ以上耐えられるのかと怖れていたけど、存外耐えられたというか、なんだか、どろろに救われた。
 
原作から百鬼丸ラブで、どろろのことは好きだけどそんなに感情移入していなかったのが、なんだかとても愛おしくなってきた。私も大人になったな。
 
1クール目のクライマックスはおそらく「ばんもん」の百鬼丸と多宝丸の兄弟対決で、2クール目は多分どろろの過去「無残帖」が前半メインだと思っているので、6話でこんな心もっていかれてたら、6月の新しい元号になった時にはどうなっているか、考えるだけで恐ろしくて嬉しい。
 
(このアニメ、平成と新元号を跨ぐものであったか!)
 
第5話で、ミオのお仕事の真の姿を目撃してしまったどろろが、どう自分の心にカタを付けるのかと思ったら、なんと自分のおっかさんとの対比で自分の心だけではなく、視聴者の心までを落ち着かせてしまった。少なくとも、私はそう。
 
百鬼丸がせっかく取り戻した右足を再び失ったことにさらに衝撃を受けたとはいえ、いやそれにも関わらず、再び身売りの仕事へ赴くミオとこれまで屈指の会話を交わすどろろ
このアジールである寺の境内と地獄のような俗世をつなぐまるで橋掛りのような階段でのミオとどろろのシーンには、とても心動かされた。
 
f:id:yumi-kuroda:20190213090611j:plain
 
f:id:yumi-kuroda:20190213090634j:plain
 
足を失った百鬼丸を治療する間、ミオたちの目標が「みんなの田んぼを持つこと」そして「ミオは子供の頃に見た豊かな黄金色の田んぼを知っている」ことを戦災孤児のリーダー、タケ坊に聞かされているどろろ
 
「私の仕事を知ってるのね」
と、どろろに告白するミオに、どろろは「生きているミオは偉い」と説く。
 
5歳児もしくは8歳児くらいに説かれる!
チコちゃんか?
もしや菩薩観音の現生の姿では?
 
どろろは小さい時(いまでも十分ちびっこだけど)おっかちゃんとずっと旅をしていていろいろな仕事を見ているし、おっかちゃんは決してミオのように身を売る仕事はしなかった。だから(どろろには食べさせても自分は食べられなくて)結果死んでしまったのだけれど、そんなおっかちゃんは偉い。でも、戦災孤児たちを食べさせるために身を売って生きているミオも偉い。
 
以上を16歳くらいの少女に説くどろろ尊い
 
どろろのおっかちゃんはおっとちゃんと共に理想ある野盗のリーダーだったし、かつては良いとこの家の出だったかもしれないし、その誇り高さのせいで大事なひとり子を残して亡くなるという悲運を辿ってしまったのかもしれない。
でも、第1話で見たどろろの「気高い」とも言える独立精神は、このおっかちゃんと義賊っぽかったおっとちゃんに育てられて身に付いたものだ。
 
一方、ミオは農民出身が故に、ある種、地に着いた図太さというか逞しさが育てられていた面があると思う。
そのどちらが良いというのではなく、どちらの生き方も肯定しているのが、この作品の良いところだ。
 
 
f:id:yumi-kuroda:20190213171233j:plain
 
このミオの夢の理想郷は、大好きだった大河ドラマ『おんな城主直虎』の「かくし里」にそっくりだ。
 
戦乱の世を離れて、井伊一族が生き延びた場所。物語のラストに、ミオそっくりの柴咲コウがこの世を去る前に舞い降りた場所。実写映画で、どろろを演じたコウちゃんがまたここに戻って来るとはね。
 
f:id:yumi-kuroda:20190213213216j:plain
 
 
そして、OPで百鬼丸どろろが2人で歩いて行く道は、やはりこのミオが夢見た黄金の稲穂がたなびく中にあった。
 
まさか第6話のラストに来るとはね。
 
これは号泣ものでした。
 
f:id:yumi-kuroda:20190213175150j:plain
 
ちょうど amazarashi の期間限定生産の『さよならごっこ』がamazonから届いており。
 
この裏ジャケのどろろが、また別タッチで可愛い。
 
f:id:yumi-kuroda:20190213174418j:plain
 
おどけて笑うのは この道が暗いから
明かりを灯すのに 僕がいるでしょう
 
ミオが持っていた希望の種籾のお守りを、百鬼丸に引き継がせたのもどろろ

f:id:yumi-kuroda:20190215074954p:plain

f:id:yumi-kuroda:20190215075114p:plain


この黄金の明かりを道連れに、二人は旅を続けるのだ。
 
「怒りのあまり鬼神になっちゃうかも!」
百鬼丸はもう本当にかっこよく狂おしくそして切なかった。
 
そしてその鬼神になるハザマの百鬼丸をギリギリのところで止めたのも、どろろだった。
 
どろろ、それは百鬼丸の歩む暗闇を照らす明かり。
 

f:id:yumi-kuroda:20190215075205p:plain

f:id:yumi-kuroda:20190215075248p:plain

f:id:yumi-kuroda:20190215075320p:plain



今回はどろろのほんとに5歳児? 的振る舞いが強烈過ぎて、百鬼丸とミオのまじラブリーな関係に全くふれられなくて切なすぎるのでそちらはまた後日あらためて記したいと思います。
 
☆追記ようやく書けました