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アスフォデロの野をわたる途中で

忘却の彼方にいってしまいがちな映画・音楽・本の備忘録

三浦春馬と高橋一成の化学反応『おんな城主直虎』

 

「ほぼ日」の森下圭子さんによる『おんな城主直虎」自作解説が非常に面白かったので、載せておきます。三浦春馬高橋一生の「役者による化学反応」によって脚本家の最初の意図とは違ったドラマに仕上がっているとのこと。

これは特に『検地がやってきた』で本来まっすぐなキラキラ王子様役の三浦春馬が「爽やかクズイケメン」として視聴者に認定され、腹に一物あるはずの高橋一生の方が「不憫なアンドレ」として一身に同情を集め、三浦春馬が非業の死を遂げるまで一種の逆転現象を起こしていたことを指すかと思います。
 
 
高橋一生演じる鶴の方が、三浦春馬演じる亀より信用できるんじゃないかと思えるドラマに仕上がっていたことに対して)
 
あ、それはね、芝居と芝居がぶつかったんですよ。わたしが書いたときの想定では、どちらかというと「直親正義」寄りに書いたんですよ。

三浦春馬さんの亀を基本的には鶴に警戒心はあるもののど真ん中のまっすぐな男に、高橋一生さんの鶴を引け目はあるものの信用のおけない男に書いているんです。最終的に、13話からの「城主編」の鶴を観てもらったらわかるんですけど、私が頭の中で動かしていた鶴は、はじめからあの「城主編」の鶴なんです。

私はそこまで難しくするつもりはなかったんですけど、仕上がったものを観て、自分もちょっと混乱するんですよ。「なんでそこで目が潤んでんの!」とか(笑)。「え、ちょっと待って、 こうなると悪いのどっちだよ!」みたいな。

あれは、私が思うよりウェットに解釈した高橋一生さんと、逆に、私が思うよりドライに解釈した三浦春馬くんが化学反応を起こした結果、と私は見ています。確認したわけではないので、あくまで妄想ですが。
 
妄想!いやー これは実に面白い話。
脚本家自身が、「あれ?自分の書いてたドラマと違う!」と感じ、これは高橋一生がいろいろな感情をカメレオンのように変化させて演じる一方、高橋春馬は思いっきり上っ面というか、爽やかな時はイヤミなくらい爽やかに、そして落ち込む時は思いっきり落ち込んでコントラストつけすぎたために、視聴者は逆に三浦春馬の方が胡散臭い、と感じてしまうという。これも私の妄想に過ぎませんが。ドラマって脚本家の手を離れて、役者や演出でどんどん変わっていくんだなぁ
第11回の『さらば愛しき人よ』での、おとわと直親の永遠の別れのシーンも、「柴咲コウ三浦春馬は本当にまた会えるかもしれないという気持ちでやっていたのかも」とおっしゃっている。
 

あれは、まぁ、実際、生きて帰ってこられないと確信しているから言えるんですよね。
あ、でも、わたしはそういうふうに書いてたけど、もしかしたら、春馬くんは「戻ってくる」という気持ちで言ってたかもしれないよ?
不思議なもんで、私が思ってもみなかった解釈をしながら、みなさんが演じることもしょっちゅうあるので、ほんと、わかんないですよ。私が書いたときは、もう戻ってくることは絶対ないだろうという気持ちで書きましたけど。だから直虎も「心得た」と言えたわけですが。演じているおふたりの気持ちは違うかもしれない。

 
あと、放映されてTwitterなんかでどんどん視聴者の解釈が付与されて、思いもかけない方向にころがっていったり。
三浦春馬クズイケメン説は、SNSなしではありえなかったもんなぁ。
 
 
でも、輝くような笑顔の後の憂い顔なんて、「この人は10年間の逃亡生活で闇を抱えざるをえなかったんだなぁ」と明らかに役に深みを与える演技で、すばらしいと私も思いました。
森下先生も以下のようにおっしゃっています。

あと、今回の『直虎』をやりながらふと思ったんですけど、春馬くん、これからは、悪い役をやったら、おもしろいんじゃないかと。
悪い三浦春馬くんが、観たい。いま、ものすごくそう思ってるんです。この人を正統派の美少年だけにしておくのは、もったいないんじゃないかと思って。すんげー悪い、悪いのに逆らいがたい悪の華みたいな美青年を一回やるべきだ(笑)。
おじさんになる前に!

 

いや、本当にこの最期の覚悟のシーンの表情は射抜かれました。
私も三浦春馬についてはイケメン以外になんの感慨ももっていませんでしたが(『わたしを離さないで』はカズオ・イシグロの原作が好きすぎて未見)「悪の華」みたいな美青年は観てみたいです。
 
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そして、柴咲コウがこんなに良いと思っていなかったので、これから年末まで本当に楽しみ。柳楽優弥も楽しみ。亀にもまた出てきてほしいな。鶴も飛んでくるのかな。

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